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【マーケティングプロセス事例】 効果的な実践方法と成功の秘訣5選

「マーケティングプロセス」を効果的に扱うためにはどうすればよいか、ご存じでしょうか。マーケティングプロセスの内容や、成功させるための秘訣など、マーケティングプロセスに興味のある方はぜひ読んでみてください。


「マーケティングをするならマーケティングプロセスに沿ってと言われたけど、マーケティングプロセスってそもそも何?」

 「マーケティングプロセスを成功させるためにはどうしたらいいの?」

 「実際にマーケティングプロセスに沿って成功した事例ってどういうものがあるの?」


 このように、マーケティングプロセスについて知りたい方も多いでしょう。


本記事ではマーケティングプロセスの基本的な概念や実際の事例、成功させるための秘訣などについて紹介していきます。



読みすすめることで、マーケティングプロセスについて基本的なことが理解できるでしょう。実際の事例についても把握し、自社に取り入れる際の参考にしてください。


どのようにマーケティングプロセスを成功させるかも紹介しているため、自社で行うマーケティング活動が効果的になります。


マーケティングプロセスの基本概念

「マーケティングプロセス」とはどのようなものか、よく知らないという方もいるでしょう。


マーケティングプロセスの「マーケティング」とは、企業が生産した商品やサービスを販売するためのあらゆる活動のことです。


企業は商品を販売するにあたって、顧客のニーズがどこにあるか探るための市場調査や分析をします。それらの結果にもとづいた商品の企画や開発、完成した商品を顧客に知ってもらうためのプロモーション活動などがマーケティングに含まれます。


「プロセス」は手法や手順、過程のことです。


ここでは、マーケティングとプロセスを組み合わせたマーケティングプロセスとはどういったものか、必要な理由や進め方など、細かい内容を紹介していきます。


マーケティングプロセスとは何か


マーケティングプロセスとは、マーケティング戦略を立てて実際に実行するまでの、一連の流れのことです。


マーケティングプロセスには6つのステップがあります。「市場分析」「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」「マーケティングミックス」そして「実行と評価」です。


まずは市場分析やセグメンテーションを扱います。その後、ターゲティングやポジショニング、マーケティングミックスや実行と評価などを設計していきます。


実際にマーケティングプロセスに取り組む際には、これらを順番に行っていくことが基本です。


しかし中小企業のように、市場分析にリソースを割くことが難しい場合もあるでしょう。そういった際にはセグメンテーションとターゲティング、ポジショニングに注力するとよいでしょう。この3つのマーケティングプロセスは、「STP戦略」と呼ばれます。


なぜマーケティングプロセスが重要なのか


自社の商品を販売し、利益を拡大していくには、企業によるマーケティング活動が欠かせず、それを適切に行っていくために、マーケティングプロセスが重要となっています。


現代では消費者のニーズが多様化し、世の中に情報が溢れていることにより、ものが簡単に売れる時代ではなくなりました。ものを売るためには自社の商品の知名度を上げ、商品の価値を正しく理解してもらい、世の中にあふれている類似の商品と差別化していく必要があります。


マーケティングプロセスは新規商品の販売だけでなく、既存商品の売り上げを維持するためにも重要です。


新規の顧客を獲得するため、あるいは既存の顧客に商品に満足し続けてもらうためには、商品が抱えている課題を見つけ、解決していかなければなりません。課題の発見から解決するまでのプロセスが必要になります。


マーケティングプロセスの主要なステップ


マーケティングプロセスの6つのステップについて、それぞれの内容を詳しく紹介していきます。

マーケティングプロセスでまず行うのは、自社の内部や外部について調査し分析する「市場分析」です。市場分析をする目的は、自社の弱みや強みを把握すること、そして市場の中で顧客にとって価値あるものを見つけ出すことです。


市場分析のフレームワークは、3つあります。「PEST分析」は政治や経済、社会や技術といったマクロな外部環境を分析するためのものです。顧客や競合、自社などのミクロな外部環境を分析する「3C分析」、自社の強みや弱み、機会や脅威を分析する「SWOT分析」があります。


市場分析に続いて、「セグメンテーション」をして自社のビジネスに最適な市場を特定しましょう。


セグメンテーションでは市場分析の結果を元に、ビジネス対象となる市場の消費者を、ニーズや価値観、年齢や性別などの情報で、細分化していきます。


次の「ターゲティング」では、セグメンテーションの結果を踏まえ、自社の商品がもっとも強みを出せ、選ばれやすい市場を決めます。さまざまな細分化した市場の中から、市場の動向や市場にいる顧客の属性、競合他社などについて分析し、自社の優位性の高い市場を選ぶことが大切です。


続いて「ポジショニング」を行い、ターゲティングした市場の中で、自社がどのようなポジションで位置取りするかを決めてください。ポジショニング決定の際には、価格の縦軸と機能の横軸で構成されたポジショニングマップの利用が効果的です。


競合他社と自社の情報を分析し、競合他社と競合しない位置であり、かつ将来は優位に立てる位置にポジショニングすることが大切です。


次のステップの「マーケティングミックス」で、実際にどのようにマーケティングしていくかを決定してください。マーケティングは複数の要素を組み合わせて行われるため、マーケティングミックスと呼ばれています。


複数の要素のうち、製品とサービス、価格、立地と販路、販促と広告などの要素から売れる仕組みを作るフレームワークが「4P」です。


近年はより消費者の視点を重視するようになりました。そのためのフレームワークとして、「4C」があります。4Cでは顧客価値や顧客コスト、利便性やコミュニケーションといった顧客視点の要素からアプローチが可能です。


最後のステップ、「実行と評価」では実際にマーケティングを実行し、評価を行います。単に成功や失敗を評価するのではなく、上手くいかなかったことがあれば検証し、課題を見つけて次のアクションに繋げましょう。


効果的なマーケティングプロセスの事例

マーケティングプロセスを行っている企業はいくつもあります。またそれらの企業の業界もさまざまで、自動車業界や消費財業界、食品業界やアパレル業界、外食業界や保険業界など多岐にわたります。


ここではそれらのマーケティングプロセスの事例の中から、とくに効果的に成功している事例について紹介します。

それぞれの企業が抱えていた問題や、課題を達成するためにどのような施策をしたか、その結果について紹介するので、参考にしてみてください。


B2Bマーケティングの実践例


企業同士の取引におけるマーケティングで、効果を出した企業の事例を2つ紹介します


デジタル分野でテクノロジーの提供を行っている企業では、自社サービスサイトのSEO対策の課題を抱えていました。この課題を達成するためのマーケティング施策として、ビッグキーワードで順位を獲得するための記事の制作や、回遊率を高められるリンクの設置などを行っています。
この結果、SEOでのリード獲得数やSEOを経由した商談が1.3~1.5倍に増えています。


また、配送サービスを事業として行っている企業では、全社を挙げてのマーケティング施策は実施していませんでした。飛び込み営業やテレアポなどでの活動が主であったため、顧客を獲得するための試みが属人化を脱却することことも課題でした。


課題達成のため、MAツールの導入で顧客情報を一元管理できるようにし、インサイドセールスを立ち上げています。その結果、マーケティング活動の可視化と自動化が可能になりました。Webでの反響が10倍になり、問い合わせからのアポイント獲得率も平均40%と上昇しています。


B2Cマーケティングの実践例


企業が消費者を対象にしたビジネスで、マーケティングの効果が大きく出た事例を2つ、紹介します。

1つは生活用品を販売している企業の事例です。こちらの企業ではコンテンツ制作やSNSでの発信を担当ごとに行っており、それぞれの連携やユーザーの導線設計をつくる必要があるという課題がありました。


課題達成のため、こちらの企業では自社の製品を紹介する生活情報オウンドメディアを立ち上げました。更新頻度を高め、専門家によるお役立ちコンテンツで専門性や権威性を示せています。


この結果、ユーザーが検索をした際に生活情報オウンドメディアに立ち寄るようになり、そこから商品を知ってもらい、購買までつなげられるようになっています。


2つ目は、ハウスクリーニングやリペアを行っている企業の事例を紹介します。こちらの企業では消費者にサービスの利用を促すことを強調したコンテンツを提供していましたが、まったく上手くいかないという問題がありました。


問題解決のため、オウンドメディア、各種SNSで消費者に役立つ情報を提供することを念頭にしたコンテンツ作りを行いました。1回の投稿で多数の画像を使用することで、視覚的に分かりやすくしています。


それによりWebサイトへ指名検索で流入してくる人が大幅に増加し、多くの消費者と接触できるようになっています。


マーケティングプロセス成功のための秘訣

ここからは、マーケティングプロセスを成功させるためのポイントを紹介します。


マーケティングプロセスの「側」を作っただけでは、成功とはいえません。マーケティングプロセスを設定したとしても、マーケティングに関する知識のない人が担当した場合、効果を十分に発揮することは難しいです。


マーケティングプロセスを成功させるためには、マーケティング施策を実施していける人材を確保し、効果的にマーケティングを進めていく必要があります。以下を参考にしてみてください。


データ分析の活用


マーケティングプロセスを成功させるためには、データを分析し、分析結果をしっかり活用していくことが大切です。


現代ではITが進化し、消費者が触れられる情報が増えました。それに伴い、顧客の購買行動も多様化したため、1ヶ所だけに情報を集めるマスマーケティングではあまり効果が出づらくなることも多くなっています。


現代のマーケティングでは、多様化している顧客のそれぞれのニーズをしっかり見つけ出し、アプローチしていく必要があります。そうしたニーズを見つけるために役立つのが、データ分析です。


データ分析することで自社の状況を正確に把握でき、ターゲットになる顧客を特定し、課題を達成していけるようになります。


データ分析の基本的な手法はさまざまです。アンケート調査結果をもとにした「クロス集計」、商品やサービスの関連性を探す「アソシエーション分析」、買い物かごに入っているものを分析する「バスケット分析」などです。


他に仮定を立てて分析する「決定木分析」、大量のデータから共通因子を探す「因子分析」、重要度で分けて分析する「ABC分析」もあります。異質のデータの中から共通項を探しグループ分けする「クラスター分析」、2択で考えていく「ロジスティック回帰分析」なども手法の1つです。


マーケティングコミュニケーション戦略


マーケティングコミュニケーションにより、適切な広告戦略を立てたり、顧客へのアプローチ方法を構築したりすることが重要です。


従来は、企業側から一方的に行うマーケティングが主流でした。しかし現代ではスマートフォンやSNSなどが普及したことにより、企業と顧客が双方向でコミュニケーションを取る機会が増えています。マーケティングコミュニケーションの重要さが増したのはこのためです。


マーケティングコミュニケーションには、「広告やPR」と「販売促進」、「DM(ダイレクトメール)の活用」や「イベント開催」、「人的販売(対面・非対面)」などの手法があります。


広告やPR戦略では、テレビや新聞、Web広告などを通じて顧客の購買を促す活動を行います。従来はテレビや新聞が主流でしたが、近年では、Web広告と組み合わせるクロスメディア戦略の手法を使う企業が増えてきました。


販売促進は従来、クーポンの配布や試食などが行われていました。現在はSNSを活用したクーポンの配布や、キャンペーンなどが行われています。


DMというと、従来はチラシやカタログなどが届くことが多かったでしょう。しかし現代ではメールやSNSを使ったアプローチが活発です。


イベント開催では、展示会やセミナーの開催などを行います。近年では場所を押さえる必要がなく、手軽に行えるオンラインイベントが増えてきました。


人的販売では営業担当が顧客にコミュニケーションを取り、要望を聞いたり提案を行ったりします。顧客と直接対面するだけでなく、メールや電話を使い、非対面でコミュニケーションを取ることもあります。


継続的な改善と最適化


マーケティングプロセスを実施する際には、「PDCAサイクル」を回して改善し続けていくことが大切です。


PDCAサイクルのPDCAは、「PLAN(計画)」と「DO(実行)」、「CHECK(確認)」と「ACT(改善)」を意味します。


マーケティングでは、市場や顧客の動向の変化に合わせて素早く対策していくことが求められます。PDCAサイクルを回すことで課題をすぐに発見し、改善していくことが可能です。


PLANでは自社が提供するサービスやコンテンツ、実施したマーケティングコミュニケーションを客観的に見ながら、改善すべきところはないか探し、ネクストアクションを検討して企画を立てます。


DOでは実際にPLANで立てた設計に従い、実行していきます。このときに具体的な成果目標(KPI)を決めておきましょう。


CHECKでは購買データや成果目標を分析し、結果(良し悪し)を可視化します。このとき分析ツールを使う際は、調べたい指標を分析できるツールを選んでください。


ACTで可視化した分析結果を元に、課題を見つけ、改善します。マーケティングプロセスが上手くいかない場合、どこに課題があるか探してください。課題を達成するための仮説をいくつも出して、効果的な改善策を見つけましょう。


PDCAサイクルをどういった頻度で回すかは、企業によって異なります。しかしCHECKだけは定期的に行うようにすると、課題が発生したときにすぐに気づけるようになります。


競合他社の分析と差別化戦略


競合他社の商品についての情報を分析し、自社商品との差別化を図りましょう。


消費者が触れられる情報が増え、市場にさまざまなものがあふれている現代において、多くのものの中から自社の商品を選び取ってもらうには、自社の商品が他社商品より消費者のニーズに近いという差別化が必要でしょう。


「USP」を参考に、差別化戦略を立ててください。USPのUは「Unique(独自性)」、Sは「Selling(提供)」、Pは「Proposition(提案)」を意味します。自社の商品だけの価値を出し、その価値を消費者に提案し差別化を図っていくことが大切です。


マーケティングプロセスを理解して効果的に活用しよう

マーケティングはただ実施するだけでなく、マーケティングプロセスに従って行うことが重要ですが、「使いこなす」ことも重要です。もしマーケティングプロセスを理解せずにマーケティングを行ってしまうと、想定したような売り上げや成果に繋がらないことがあります。


マーケティングプロセスの6つのステップを理解し、それぞれを使いこなして、効果的なマーケティングを展開しましょう。

またマーケティングプロセスを実施する際は、この記事で紹介している成功させるための秘訣を参考に、適切に行っていくことも大切です。ぜひこちらの記事を参考に、マーケティングプロセスに取り組んでいってください。

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